2019.11.19

安部裕葵、スペイン初ゴール。
バルサの昇格サバイバルで必要なこと

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Quality Sport Images/AFLO

 11月17日、バルセロナのヨハン・クライフスタジアム。安部裕葵(20歳)は、バルサBの選手として初ゴールを決めている。

 2部B(実質3部リーグ)、第13節のコルネジャ戦でFWとして先発。前半23分、MFリキ・プッチがボールを持ち運び、バックラインの裏へ鮮やかなパスを通す。これにカルレス・ペレスが走り込み、GKと1対1になったところでブロックされるが、そのこぼれ球を安部が抜け目なく蹴り込んだ(結果は3-3の引き分け)。

 安部はバルサというクラブで、どのような選手に成熟しつつあるのだろうか?

FWとして先発出場を続け、スペインでの初ゴールも決めた安部裕葵 コルネジャ戦、安部は「FALSO 9」としてプレーしている。日本語に訳せば「偽9番」と言われるポジションだ。本来はセカンドアタッカーの選手が、トップでストライカーのようにプレーする。ポゼッション型のチームが、ボールの流動性を高めつつ、攻撃の厚みを倍加させるために編み出したポジションである。かつてはトップチームでも、リオネル・メッシ、セスク・ファブレガスが担当していた。

 安部は本来、左右のサイドアタッカーか、トップ下で能力を発揮する選手だろう。しかし、第11節のアンドラ戦から3試合連続して、先発で「FALSO 9」としてプレーしている。フリーランニングでディフェンスを引きつけ、味方にスペースを作る。前に突っ込むことで、相手のライン全体を下げる。ラインの間でボールを受け、相手を引きつけながら、攻撃のコンビネーションを作り、最後の仕上げにも加わる。簡単ではないポジションだが、安部はコルネジャ戦でも戦術的な役割をしっかりこなしていた。味方が攻め上がって自らのポジションを空けたら、そのスペースを機敏に埋めるなど、献身的でもあった。

 もっとも、安部が彼らしく輝いたのは、後半になってポジションを変えてからと言えるだろう。チームは後半途中から長身のベネズエラ人ストライカーを投入。安部は左サイドに回ったが、ボールに触る機会は目に見えて多くなり、敵に直接的な脅威を与えていた。