空中分解寸前にあるレアルの諸問題。
「くそったれのシーズン」

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「自分たちはくそったれのシーズンを過ごしている」

 1週間のうちに、アヤックスに敗れてチャンピオンズリーグ(CL)4連覇を逃しただけでなく、スペイン国王杯に敗れ、リーガ・エスパニョーラも、数字上は可能性が残されているだけで、現実的には逆転がほぼ不可能になったレアル・マドリード。悪夢のような時を過ごしているその現状を、ダニエル・カルバハルはアヤックス戦後のフラッシュインタビューでそう表現していた。

週明けにも解任が発表されるものとみられるサンティアゴ・ソラーリ監督(レアル・マドリード)週明けにも解任が発表されるものとみられるサンティアゴ・ソラーリ監督(レアル・マドリード) 普通のチームであれば、無冠で終わるのはよくあることであり、たとえ優勝しなくても、優勝争いを繰り広げたことで高い評価が与えられるだろう。だが、常に勝利を求められるレアル・マドリードは、優勝争いではなく、優勝をしなければいけないのだ。

 今シーズンのレアル・マドリードは、昨年までチームを文字どおりゴールでチームを牽引していたクリスティアーノ・ロナウドが退団し、得点力の低下を危惧する声が大きかった。しかも、突出したカリスマ性でチームを指揮していたジネディーヌ・ジダンも監督を辞任。ジダンは「勝ち続けるためには変化が必要だ」と、まるで沈む船から逃げるネズミのように、チームが落ち込んでいくことを予想していた。

 その予想が現実となるのに時間はかからなかった。

 夏の移籍市場で獲得した目玉はティボー・クルトワだった。補強の優先順位が高くはなかったGKで、優先事項であったはずのFWの補強は、すでにシーズンが始まっていた8月終盤にマリアーノ・ディアスをリヨンから買い戻しただけだった。その後は生え抜きの選手もケガを重ねて、ロナウドの穴埋めをするどころかチームの戦力となることすらできずに終わる。

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