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日本を悲嘆させたベルギーGKの
美技はバレーボールから生まれた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 GKはフィールドプレーヤーと比べて、単純な体格の差の違いが出るポジションである。身長175cmのGKと200cmのGKとでは、自ずと守備範囲が異なってしまう。身長199cmのクルトワは、大きな体を自在に操る運動能力に恵まれ、「ENVERGADURA」を存分に利する。

 ハイボールの反応に対しては、ほとんどミスがない。飛び出すタイミングが抜群で、長身とリーチの長さを生かしてのハイジャンプ、キャッチングは優雅にすら映る。忘れられないのが、日本戦のラストプレーだ。

 本田圭佑のFKを、手をいっぱいに伸ばして弾き出した後だった。左CKを、またも本田が蹴るボールの軌道を完全に読み切る。そして大胆に飛び出し、高い跳躍から確実にボールをキャッチ。すかさず走り出したケビン・デブルイネの足元へ的確にスローし、決勝点に至るカウンターを生み出した。

 日本を奈落の底に突き落としたのは、セービングや判断力も含めて、クルトワだったのだ。

 日本人なら持て余すほど大柄な体ながら、ボールに対して俊敏で洞察力も鋭い。その理由は、幼少期にあるだろう。

 クルトワは子供の頃からバレーボールに慣れ親しんでいた。両親がバレーボールの愛好家で、兄弟もそうだった。ボールの落下点を見抜き、高く跳躍し、最高点でボールを叩くというバレーボールの経験は、GKとしての基礎に生きている。どうやってボールを手で叩き、その後にどう変化するのか、それを彼はほとんど無意識に習得している。ボールを手で触ることに熟達していることは、パンチングやキャッチングの際の拳(こぶし)のつくり方やボールへの当て方を見ても明らかだろう。

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