用意周到なイングランド。
日本が対戦するならセットプレーに要注意 (3ページ目)
こうした成功の裏には、セットプレーを担当するコーチのアラン・ラッセル氏の存在がある。パナマ戦の4点目となったFKのトリックプレーも、このスコットランド人コーチの発案によってもたらされたという。ガレス・サウスゲート監督は「セットプレーは今大会のカギになると考えていた。同時に、改善が見込める要素であるとも感じていた」とし、セットプレーの練習に多くの時間を割いていると明かす。
グループステージ2戦でセットプレーから4ゴールを挙げているケインも次のように語る。
「セットプレー担当のアラン(・ラッセル)とトレーニングを積んでいる。日々の練習の最後に必ず行なっているんだ。相手のDFとGKの特徴や、どこに弱点があるかを伝えてもらっている」
イングランドと決勝トーナメント1回戦で対戦する可能性のある日本代表も、このセットプレーに注意が必要なのは間違いなさそうだ。
開幕前、英国内では代表チームへの期待が非常に低かった。英紙『サンデー・タイムズ』で健筆を振るうジョナサン・ノースクロフト記者は、「W杯で優勝する可能性は極小」とまで言い切った。
実際、黄金世代を擁した2006年ドイツ大会や2010年南アフリカ大会では、ロンドン市内のバーで試合を観戦しようものなら入場料を取られたものだが、今大会ではほとんどのパブで入場料なしで観戦できる。黄金世代時のW杯にあったような、国をあげての異常な盛り上がりは今のところ感じられない。
ただ、勝負はここからだろう。グループステージ第2戦までは格下との対戦が続いた。その意味でも、イングランドの真価が問われるのは決勝トーナメントからである。強豪国との対戦時に、もろさの目立つ守備陣がどこまで踏ん張れるか。あるいは、平均年齢25.6歳の若いチームが大会を通してどこまで成長できるか。
このあたりが、イングランドの最終順位を決めそうだ。
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