レアルは「ひどい目にあったユーベ戦」をCL準決勝の教訓にできるか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 中島大介●写真 photo by Namashima Daisuke

 バイエルンは昨季のこの一戦に限らず、ここ数シーズン、必ず終盤の大一番でスペイン勢にやられている。苦手にしているようにさえ見える。準々決勝の対セビージャ戦(通算スコア2-1)も、そう感じずにはいられない試合だった。他のブンデスリーガのクラブにはないうまさに面食らい、持てる力をフルに発揮できなかったという印象だ。

 バイエルンの悩みは、バイエルンを追う2番手との差が大きすぎるというブンデスリーガの特殊事情にある。毎シーズン、この時期にしか大一番を体験できないハンディをどう克服するか。ドイツ王者がレアル・マドリードに対し、チャレンジャーに徹することができるか、だ。受けて立って苦戦したセビージャ戦を教訓にできるか。

 レアル・マドリードは、準々決勝第2戦でユベントスに思わぬ返り討ちに遭った。アウェーでの第1戦0-3の勝利から、3-3に追いつかれ、延長まであと数十秒という段まで追い込まれようとは、予想だにしていなかったはずだ。

 この試合は、ユーベがクラブ史上過去最高ではないかと言いたくなるほど、文句なしのサッカーを展開したこともあるが、レアル・マドリード側にも問題はあった。

 このチームが苦戦する原因はハッキリしている。誰をピッチに送り込むか、だ。中盤系のイスコを起用すれば、カゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチと合わせ、中盤系の選手は4人になる。自ずとFWは2人、2トップになる。そして中盤4人はいずれも真ん中系。組ませるなら否応なく中盤ダイヤモンド型になる。

 だが、その並びには非効率性が宿り、たいていうまくいかない。試合の途中から中盤1人を落とし、サイドアタッカーを入れた4-3-3、あるいは4-2-4的な4-4-2に布陣の変更を余儀なくされる。サッカーの効率性は、断然、後者の方が高い。

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