中国政府もチラつく、ミラン買収の真相。新オーナーで来季はどうなる? (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 その後、長く実りの少ない交渉の日々が続いた。そして売却を決心してから約2年あまり、ついにひとりの中国人企業家にたどり着いた。彼の名前は李勇鴻(リー・ヨンホン)。47歳の中国人企業家で、シノ・ヨーロッパスポーツ・インベスティメント・マネージメント(中欧体育投資管理長興)という会社の社長だ。シノ・ヨーロッパは、複数の中国人投資家を集めて運営している投資会社である。

 このシノ・ヨーロッパに出資している投資家の中に、ハイシャ・キャピタル(海峡基金)というファンドがある。この基金の会長はルー・ポー(路博)。このファンドの存在は非常に重要だ。なぜならハイシャの株主の中には中国政府そのものがいるからだ。そのためかハイシャは、2010年とまだ設立して間もないファンドであるにもかかわらず、最近ではフランスでも融資を行なうなど、急成長している。

 とにかく中国政府が関わっていることは意味深だ。中国は2030年にW杯を誘致したいと考えている。彼らはミランを買うことで、ヨーロッパサッカー界へ影響力を持とうとしているのだ。

 しかし、ミランは高かった。売却額は7億4000万ユーロ。そこでシノ・ヨーロッパは、5億2000万ユーロを自社で調達し、残りの2億2000万ユーロは借り入れることにした。リー・ヨンホンは金持ちだが(不動産業などで得た個人資産は5億ユーロと言われる)、それでも足りなかったのだ。

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