悔しさのあとに笑み。吉田麻也がイブラヒモビッチと対峙して掴んだもの (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 それだけに、試合直後は悔しさを隠し切れない様子だった。試合終了のホイッスルが鳴ると、両手をひざに置き、ゆっくりと天を仰いだ。マンチェスター・Uの主将を務めるFWウェイン・ルーニーがリーグカップのトロフィーを掲げたときも、日本代表DFは思わず視線をピッチに落としていた。栄冠を掴んでいれば、クラブレベルでは吉田にとってキャリア初のタイトルとなっただけに、その姿から口惜しさが伝わってきた。

 吉田は、思いの丈を口にする。

「全体的にいいプレーをしていたし、ほんとにあと少しでチャンピオンに手が届くところまでいった。この決勝だけでなく、決勝までのプロセスも、チームとしてすごくいいものだった。悔しいですけど、また週末から試合はある。プレミアリーグは続くので、これを糧(かて)にしていい形でシーズンを終われるようがんばりたいと思います。来年また、ここに帰ってこられるようがんばります。こういう舞台(ウェンブリーでの決勝)に来るのはいいことだなと思いました」

 一発勝負のファイナル、8万5000人の大観衆、そしてイブラヒモビッチやMFポール・ポグバ、FWアントニー・マルシャルといったワールドクラスのプレーヤーたち──。緊張感がマックスまで高まったこうした大舞台こそ、選手を大きく成長させるものだ。

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