悔しさのあとに笑み。吉田麻也が
イブラヒモビッチと対峙して掴んだもの

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

「ほんとにあと少しのところだったと思います」

 試合後の取材エリアで、サウサンプトンのDF吉田麻也はそうつぶやいた。2月26日に行なわれたマンチェスター・ユナイテッドとのリーグカップ決勝。聖地ウェンブリー・スタジアムでの一戦に2-3で敗れ、サウサンプトンの栄冠獲得は叶わなかった。

イブラヒモビッチの突破を許さずボールを奪う吉田麻也イブラヒモビッチの突破を許さずボールを奪う吉田麻也 試合は、まさに一進一退だった。前半38分までにふたつのゴールを許し、サウサンプトンは早くも窮地に追い込まれた。ところが、前半終了間際に1点を返すと、後半開始直後に同点ゴール。試合を振り出しに戻すと、後半はサウサンプトンのペースで進んでいった。勢いに乗ったまま決定的なチャンスの山を築いたが、決勝弾を奪ったのはマンチェスター・UのFWズラタン・イブラヒモビッチ。87分にヘディングシュートを被弾し、サウサンプトンは最後の最後で力尽きた。

 それでも、解説者のジェイミー・レドナップが「組織力でも、パフォーマンスでも、サウサンプトンがマンチェスター・Uを上回っていた」と評したように、1976年のFA杯以来となる主要タイトルを目指したサウサンプトンが頂点に立ってもおかしくない試合内容だった。頂(いただき)が見えかけたところで、マンチェスター・Uにトロフィーをさらわれたような、そんな決勝戦だった。

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