ハンブルガー主将・酒井高徳は名門クラブの大ピンチを救えるか (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 酒井はシンプルに即答したという。

「すぐに『はい』と言ったんですけど、なんでその時、すぐに言っちゃったのかなって。ジュルーも長年キャプテンをやってきて、俺の『はい』のひと言でキャプテンを外されるということは、彼にとっても簡単なものじゃなかったと思うから。心の痛みみたいなものを少し感じると思うし。そういう意味で、なんで『少し考えてからにします』とか、言えなかったんだろうって」

 ジュルーを主将から外さなくてはならないほど、チームは切羽詰まっていたというわけだ。だが酒井にも複雑な思いがある。主将として初めて迎えた11月20日のホッフェンハイム戦を終えて、酒井はそれを次のように語っている。

「特に何かを変えるわけではなく、自分は自分であろうと思った。発表からこの2日間、周りがざわついたりしたし、もしかしたら自分に対してあまりよく思ってない選手がいるかもしれない。日本語しかしゃべれない、あるいはドイツ語がうまくできないようなやつがなんでキャプテンなんだというような雰囲気も感じたりはするけど、そのへんは、あえて僕はしゃべり続けるのではなく、自分のまま、クールでいながらチームを引っ張ることを意識した。

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