数字が証明する欧州最強クラブはバルサ。大没落はミラン (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 繰り返すが、そうした落ち込みが一度もないのがバルサ。世界の最前線に常に身を置いている。平均順位2.96は、CLの成績に置き換えればベスト4。また、年間順位の最低が9位ということは、悪くてもほぼベスト8は外さないことを意味する。

 波の大きなその他クラブと、バルサとの違いは何か。スペイン人のベテラン記者は、R・マドリードとの決定的な違いをこう述べている。

「歴史的に、監督中心のサッカー、監督にこだわるサッカーをしてきたのがバルサ。選手中心のサッカー、選手の名前にこだわるサッカーをしてきたのがR・マドリードだ」

 間違った監督を連れてこなければ、大崩れは避けられる。あるレベルは維持できる。アテになるのは確かな監督。優秀と言われる選手をかき集めても、使い方を間違えば結果は得られない――。実際、バルサが追い求めているサッカーは、CLが始まった93年当時となんら変わらない。普遍性、一貫性、継続性という点で、バルサは他のクラブに大きく水をあけている。

 安定感という点で、少しバルサに類似しているのがベンゲル率いるアーセナルだ。年間トップ3に入ったことはないが、02年にトップ10入りしてから現在まで、圏内をずっと維持している。トップ10通算年数でも第5位と健闘。その間、監督交代を行なわず、ベンゲルという一人の監督で乗り切ってきたメリットを思わずにはいられない。

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