クラシコ直前。バルサは独自のスタイルを失いつつある (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 ルイス・エンリケの4−3−3はそう見えない。中盤ダイヤモンド型の4-4-2にきわめて近い布陣になっている。バルサの歴史に照らせば、これは珍しいことだ。ネイマール、メッシ、ペドロの3人が狭い幅の中に収まっている。攻撃は真ん中に偏りがちだ。

 すなわちサイド攻撃は、サイドバックの攻め上がりに頼ることになる。ピッチを広く使うサッカー。これは、クライフも、グアルディオラもこだわってきたものになるが、ルイス・エンリケにその意識は低い。展開が狭いので、見た目にも美しくない。胸の透くような大きな展開は、すっかり見られなくなっている。

 現在、バルサはスペインリーグで首位を行く。8戦して7勝1分け。こちらの心配は杞憂に終わっている。だが、チャンピオンズリーグ(CL)においては、第2週でパリSGに敗れている(パリのホームで3-2)。押して押して押しまくった末に足下をすくわれるという、バルサらしい敗れ方。しかしこれは番狂わせではなく、力負けと言いたくなる必然性の高い敗戦だった。

 パリSGのレベルは決して低くない。CLでベスト8、ベスト4は狙えるチームだ。しかし、バイエルンやレアル・マドリードほどではない。

 バルサの昨季の成績はスペインリーグ2位。CLではベスト8だった。サッカーの内容的にも、下り坂にさしかかっているような印象を与えた。パリSG戦は、その傾向が続いているのか否かをチェックする良い機会だった。そこでバルサは敗れた。惜しいと思わせない敗戦を喫した。

 スペインリーグではこれまで、バルサは上位チームとの対戦がなかった。7勝1分けは、順当な結果になる。そうした意味では、25日に行なわれるレアル・マドリード戦、「クラシコ」は、まさに試金石といえる。

 マドリードも、今シーズン安定した戦いをしているわけではない。リーグ戦ではすでにふたつも負けている。バルサ有利という人は少なくないが、僕の見立てでは、バルサ危うし、となる。

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