2014.06.15

ネイマールはブラジルの何かを変えることができるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

 そして試合後、メディアがネイマールとほぼ同等に注目したのは、PKの判定を下した日本人主審、西村氏だった。クロアチアDFが手を使ってブラジル人FWを引き倒したが、流されることも多いプレイで、派手な倒れ方をしたFWがシミュレーションを取られる可能性もあった。

「あれはPKなのか?」

 試合後、筆者はポーランドのテレビ局から取材を受けた。

「PKだ」

 そう正直に答えた。手を使うファウルについては厳しい傾向がある。その点で、西村主審の判断は適切だった。「DFの身にもなってみろ」という意見は、「削られまくるFWの身にもなってみろ」という反論に置き換えられ、審判のジャッジは尊重されるべきだろう。

 もっとも、大会の流れを決める基準になっただけに、微妙な判定でもあった。案の定、各国メディアは日本人主審のジャッジを「誤審」とまで糾弾することになった。

 午前4時11分。深夜12時にホテルの部屋へ戻った後、早朝便でサルバドールに向かうため、グアルーニョス空港への道を急いだ。空港では荷物をドロップするだけなのに、長蛇の列。カウンター職員が自分の仕事を習得しておらず、お互い訊ね合うので効率が悪い。ほとんどの職員が笑顔だし、申し訳なさそうにもする。いい人たちだ。しかし、機能性は決定的に欠如している。

 一事が万事、これがブラジルである。その“緩慢さ”は大会自体の匂いであり、深刻な国家としての混乱も、元を正せば彼らの国民性が招いたものだろう。