PSGリーグ連覇達成へ。パリはサッカーの街になりつつある

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】パリ・サンジェルマンの奇跡(3)

 パリ・サンジェルマン(PSG)で商品開発の責任者を務めるファビアン・アレグレのデスクには、スウェーデン製のミルクのパッケージが置かれている。パッケージにはPSGの選手が載っているが、イブラヒモビッチがひときわ目立つ。

「若いクライアントを狙っている。そうすれば、いずれはPSGのサポーターになってくれるだろうから」と、アレグレは言う。「若者はヒーローに惹かれる。そしてズラタンは押しも押されもせぬヒーローだ」。今ではパリのおしゃれな地域でも、PSGのユニフォームを着ている子どもを目にする。たいていはイブラヒモビッチの10番をつけている。

PSGのブランディングにも貢献しているイブラヒモビッチ(photo by Getty Images)PSGのブランディングにも貢献しているイブラヒモビッチ(photo by Getty Images) PSGの「ブランド」をつくるのに貢献したもうひとりの選手は、昨年の春、チームに4カ月しかいなかった。デイビッド・ベッカムだ。彼が来るまでPSGグッズの外国での売り上げは、全体のたった1%だった。ベッカムはこれを10%に引き上げ、PSGはそれ以降も同レベルの数字を維持している。

 ベッカムは昨年5月、フランスリーグのタイトル獲得とともに現役を引退した。ただカタール人の経営陣が失望したのは、エッフェル塔の近くで行なわれた公式の祝賀イベントで、昔のPSGにつきものだったファンの小競り合いが起こったことだった。

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