チームの不調が本田圭佑に影響。なぜミランはここまで弱くなったのか (2ページ目)
この現象が始まったのはそう遠い昔のことではない。ミランが最後にスクデットを勝ち取ったのは2010~2011シーズン。この時のミランにはチアゴ・シウバ、イブラヒモビッチ、ピルロ、ネスタ、セードルフらそうそうたるメンバーがプレイしていた。その翌年もアッレグリ監督のもと、ミランはシーズンのほとんどを首位でひた走っていたが、終盤に来てトーンダウンし、最後に優勝をユベントスに奪われてしまった。
このシーズンの終わりに、UEFAは、クラブチームの収支のバランスをとるように定めた、ファイナンス・フェアプレイを導入した。これにより、ミランは赤字削減のためパリ・サンジェルマンにイブラヒモビッチとチアゴ・シウバを売らなければならなかった。その前年に、ミランはピルロの契約を更新せず、直接スクデットを争うライバルであるユベントスに移籍金ゼロで彼を渡してしまうというミスも犯していたのに、またもチームの看板選手を失ってしまったのである。
つまり今の不調の原因は、経済的な問題から、テクニカルな選手が少なくなってしまったことにある。彼らが抜けた穴の補強は、エル・シャーラウィ、デ・シーリオ、バロテッリなど、優秀だが経験が少なく、チームが成長させていかなければいけない若手選手が中心だった。ただその方向性は決して悪くなかったと思う。昨シーズン、3位になることができたのがそのなによりの証拠だ。シーズン後半には今のチームにあった戦術も見つけることができた。
しかし今シーズンに入ってから、アッレグリはまずそのシステムを4-3-3から4-3-1-2に移行、その後チームと彼の間に齟齬(そご)が生まれるようになった。このことが、もともとあった問題と相まって、今シーズンのこれほどの不調を呼び起こしてしまったのだ。
いつもの年に比べれば、今のミランが非常に不甲斐ないのは確かである。この25年間、世界で最も多くのタイトルを勝ち取り、本田がそうであったように、多くの選手たちがロッソネロのユニホームを着ることを夢見てきたのがミランというチームの本当の姿だ。しかしミランは絶対このままでは終わらない。そのためには本田に一日も早くチームに慣れ、調子を上げてミラン復活に貢献して欲しい。
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