【イタリア】シーズン不敗優勝を達成したユベントス、変貌の理由 (2ページ目)
とはいえ、波が全くなかったわけではない。状態が落ちて動きが鈍った冬場の7試合(21~27節)でひとつしか勝てず、パレッジーテ(引き分け炎)という嬉しくない病名がつけられた。優勝決定後、コンテがシーズンを振り返り、28節(フィオレンティーナ戦)、29節(インテル戦)が最も困難な時期だったと言っている。実は27節のジェノア戦は引き分けに終わったものの、この試合からユーベは今までのコンディションをとり戻していた。そしてフィオレンティーナ、インテルを立て続けに蹴散らすのだが、首位ミランも勝ち続けていたため勝ち点差は4と開いたままだったのだ。
そのユーベにとって最後のチャンスと言われていたのが31節。チャンピオンズリーグのバルセロナとの2試合でミランの消耗が見込まれた時だった。こういった机上の筋書きは当たらぬことも多いのだが、ここでミランがフィオレンティーナに手痛い黒星。パレルモに勝ったユーベが首位に返り咲き、そこからは順位もコンディションも落ちることはなかった。
来季のユーベは少なくとも2つの大きな変化がある。ひとつはチャンピオンズリーグ出場。それによって3日おきの試合が続くことから、今季とは違うトレーニングで臨む必要があるのは明らかだ。
もうひとつは、ビアンコネーリの誇り、喜び、悲しみ、苦しみの全てを共感・共有してきた真のバンディエラ(象徴)が消えること。そう、アレッサンドロ・デル・ピエロの退団だ。新たな時代を築くための別れかもしれない。だが、心の琴線に触れる思い出とともに、ほのかに埋まらぬ穴が胸にあくことだろう。
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