【CL】 5年連続準決勝進出。バルセロナとグアルディオラが貫く「クライフの哲学」 (3ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michko
  • photo by Getty Images

 ヨハン・クライフはかつて「勝つためには相手チームより1点多くゴールを入れればいいだけ」と話したが、まさにその通りで、相手に5点入れられたとしても自分たちが6点入れれば勝つし、逆に、もし相手に1点許しても10点を許してしまっても、ゴールを奪えなければそれは同じ負けであり、数字上の勝ち点は同じゼロなのだ。

 今回のミランとの対戦後、グアルディオラは「私たちは準決勝に進むのに十分すぎるほどふさわしかった」と自らを評した。なぜなら、「私達は21回攻撃したが、相手が攻撃したのは3回だった」からだ。
 
 選手としてクライフの哲学を本人から直接学んできたグアルディオラは、今、監督となってそれをさらにバージョンアップさせており、ゴールを決める前の姿勢にまでそのコンセプトの徹底を選手に求めている。

 チャンピオンズリーグでは「1-0で勝つのが一番美しく効果的」と考えるイタリアの名門を打ち倒し、国内リーグでは「アウェーの0-0は良い結果だ」とうそぶくモウリーニョ率いるレアル・マドリードも倒しながら、グアルディオラはこの5年間、黙々と勝ち進んできた。

 今回のミランとの試合で3得点のうち2点がPKだったので、それを責める声がイブラヒモビッチを始め、一部選手からあがったが、それを問われたグアルディオラの言葉に迷いは微塵もなかった。

「最大限の努力なしに、チャンピオンズリーグの準決勝に5年連続出場は達成できない」と言い切るグアルディオラの目は厳しかったが、口元には微笑みが浮かんでいた。

 守備面での不安要素を抱えながらも、貫き続けるバルサの攻撃的サッカー。それをホームで確実に取り戻したグアルディオラに迷いはない。しっかりと一歩一歩を踏みしめて、決勝の地、ドイツ・ミュンヘンに向かっている。

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