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【Jリーグ連載】OB中村忠に聞いた、東京ヴェルディ・アカデミー出身の最高傑作は? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 建英は、技術的に飛び抜けていましたね。肉体では叶わないけど、技術と個人戦術で、1、2試合(J3で)やったら、もう普通にやれていましたから。ものすごいなって思いました。

――肉体的にJ1では厳しいけど、J3なら、ということですか。

中村 いや、肉体的にはJ3でも厳しかった。でも、建英のすごいところは、フィジカルベースがなくても、技術と個人戦術でサッカーができたことです。だから、それがある意味、アカデミーの理想なんですよ。

――というと。

中村 フィジカル的な部分って、16、17、18 歳と年齢が上がるにつれ、ひいてはプロになってからでも、どんどん(力が)ついていく。それがまだついていないのにできちゃうっていうことは、まさに技術と個人戦術が高いから。それがなければ、ケガをしてしまいますからね。

 あとは(アカデミーで高い技術と個人戦術を身につけたうえで)、どこかのタイミングでメンタリティやフィジカルが備わってくれば、それはもういい選手になるに決まっている。そういう選手が、ヴェルディでも理想だし、アカデミーとしての理想の選手だと思います。

――長くヴェルディに携わってきた中村さんから見て、読売クラブ時代も含め、ヴェルディユースの最高傑作は誰だと思いますか。

中村 誰ですかね......、最高傑作と言っても、いろんなタイプの選手いるので、わからないです(苦笑)。

 たとえば、僕が見たなかで技術だけで言えば、菊原志郎だったり。でも、じゃあ志郎くんが今のサッカーで同じようにできるかどうかは、やってみないとわからない。逆に森田晃樹はその当時にいたら、もしかしたら志郎くんよりうまかったかもしれないし。

 相手の嫌がるドリブルをする選手だったら、中島翔哉だったり、小林祐希だったり。ジョエル(藤田譲瑠チマ)だって、すごくいい選手だと思うし、比べられないですよね。

 日本代表で10番をつけてワールドカップで優勝したとか、何回もヨーロッパでタイトルを獲ったとか、そういう選手がいれば別ですけど、それはまだいない。だから、まだ何かが足りないんですよ、きっと。

 いずれ、本当にバロンドールを獲る日本人男子選手が出てくる可能性もあるし、それがヴェルディ出身だったら、僕らにとっては一番うれしいことになるのかな。

(つづく)

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