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賞金3000万円をかけたサバイバル 大久保嘉人がNetflixシリーズ「ファイナルドラフト」出演を決めたワケ (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

【喋ったらいけないのに、糸井(嘉男)さんがバァーってなんか喋っていて(笑)】

――久しぶりのトレーニング、キツくはなかったですか?

「「ファイナルドラフト」に出場する、というわかりやすい目標があったからね。自分は目標がないと自分を追い込めないんだけど、やり始めたらストイックにやるほうで。かなり追い込みましたよ。子どもたち(長男から四男まで男の子4人)には、『頑張って』と言われて送り出されて。まあ、見せる体はどうにか作れたな、って思ったんですけど、もし走る系のステージがあったら、苦しいかなって......」

――いきなり、雪山を駆け上るステージでした(笑)。

「そう(笑)。とにかく想像がつかなかったから。初日も、誰が出場しているかもわからないなか、目隠しをされて、みんなで車に乗り込んで連れて行かれたんだけど、喋ったらいけないことになっているのに、(元プロ野球選手の)糸井(嘉男)さんがバァーってなんか喋っていて、"これは糸井さんやな"ってすぐにわかりました(笑)。自分は尿意を感じて、我慢できず『トイレに行かせてください!』って頼んで、トイレに行って少し目隠しを外したら、なんかとんでもないところに連れて来られているなって。そこから、さらに遠くに連れて行かれて、目隠しをとった瞬間、"何これ"って......」

1stステージは雪山を登る「山登り」――山登り、あの傾斜はきつそうでした。

「どこまで登るのかな、あの辺かな、と見えているところで目星をつけていたんですけど、スタートして30mも走ると、もう走れなくて。あの辺って思っていたところにも、なかなかたどり着かない(笑)。手を使わないと登れないところもあって、気を抜くと、下に滑り落ちそうになってしまって。結局、ゴールと思っていた場所より実際のゴールがずっと上だとわかって、"もうマジかよ"って、心が折れちゃいました。すでに乳酸も溜まっているし、"やばい、どうしよう"ってずっと思っていました」

――最初のステージは脱落者がひとりだけでしたが、そのひとりになるのは回避したかったのでは?

「今回の「ファイナルドラフト」に向けてトレーニングしてきたから、"意地でもここで落ちることはできない"って思いながら、ひたすら前の選手についていくことにしました。もう、心は無になっていましたね(笑)。一応、足腰のトレーニングもしたし、せっかくやったんだからって......」

(>>中編に続く)

●Profile 大久保嘉人(おおくぼ・よしと)
1982年6月9日生まれ。福岡県出身。国見高卒業後、2001年にセレッソ大阪入り。J2に降格したプロ2年目からチームの主力として奮闘し、2004年にはスペインのマジョルカに期限付き移籍した。2006年にC大阪に復帰したあとは、ヴィッセル神戸、ヴォルフスブルク(ドイツ)、神戸と渡り歩いて、2013年に川崎フロンターレへ完全移籍。3年連続で得点王に輝いた。その後は、FC東京、川崎F、ジュビロ磐田、東京ヴェルディ、C大阪でプレーし、2021年シーズン限りで現役を引退。日本代表では、2010年南アフリカW杯、2014年ブラジルW杯に出場。国際Aマッチ60試合出場、6得点。

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「ファイナルドラフト」とは、戦力外通告や勇退などで第一線を退いた25人のアスリートが、セカンドキャリアの開拓のため、賞金3,000万円を賭け、最後のひとりになるまで蹴落とし合いを繰り広げる<筋肉 ×サバイバル>の新たなリアリティショー。肉体の限界を試す難攻不落の競技に挑みながら、ライバル、そして今の自分と向き合い、再び輝かしい人生を手にするための、策略・マウンティング・心理戦が飛び交うサバイバルゲームだ。

https://www.netflix.com/title/81710053

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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