Jリーグ2代目MVPペレイラは日本人の手本となった 経験豊富なブラジル人CBの読みの鋭さ (2ページ目)
【特徴をさりげなく引き出す妙技】
ピッチ内ではどうだったのか。
ピンチの芽を摘み取る的確なカバーリングは、日本人選手にとって手本となるものだった。セレソンに招集された経験こそなかったものの、世界的なセンターバックを数多く輩出してきたブラジルの血統を引き継ぐものだった。初めて触れる日本のサッカーに、スムーズに適応した印象が強い。
「それも『ヴェルディというクラブだったから』かもしれませんね。ただ、多くのブラジル人が感じるように、日本のサッカーはブラジルに比べると非常に速い。時には少し慌てすぎなのでは、と感じることもある。その速さに慣れなければいけなかったし、日本人選手はとても技術が高いと感じました」
ペレイラのプレーを要約するなら、「インテリジェンス」のひと言がふさわしいだろう。スピードや身体能力で、マッチアップする相手を圧倒するタイプではない。リーチの長さを生かしたパスカットやクリアはあったが、一手先、二手先を予測する読みの鋭さこそが、ヴェルディの最終ラインに安定感と安心感をもたらしていた。
ほとんどの局面において、彼の予測は正しい。思考は先回りしているので、攻められている局面でも慌てることがない。対応が窮屈になることもない。184cmのサイズがあり、フィジカル的な力強さはありながらも、力任せなディフェンスにならないところに、インテリジェンスを感じさせるのだった。
だからだろう。ほとんど警告を受けていないイメージがある。念のため調べてみると、1993年はリーグ戦32試合出場で7枚の警告を受けていた。この数字はちょっと意外だったが、1994年は43試合出場で4枚である。クリーンかつハードな守備者だったことがわかる。
CBのパートナーはさまざまだった。オランダ人のイェーネ・ハンセンやエリック・ファン・ロッサムと最終ライン中央を形成し、若手の西澤淳二や廣長優志の横にも立った。経験豊富な加藤久や柱谷哲二ともコンビを組んでいる。
どのような組合せでもプレーのレベルが変わらないのも、ペレイラの優れた長所だっただろう。コンビを組むCBやサイドバックの特徴をさりげなく引き出すのは、経験者ならではの妙技だ。
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