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Jリーグで充実の日々を語るファジアーノ岡山のFWルカオ「本当に感動した」スタジアムとは? (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【自分のプレーはパワーとフィジカルが肝】

 ちなみに、あの時のロナウドのユニークな髪型――日本では"大五郎カット"と呼ばれた――は、当時ブラジルで流行ったと教えてくれた。にこやかにそんな話をするルカオのキャラクターについて、チームメイトの木村太哉は次のように明かす。

「ブラジル人らしい陽気な性格の持ち主ですね。あんまり上手ではないですけど、日本語を交えて積極的に仲間とコミュニケーションしようとします。彼の周りには、いつも笑顔が溢れていますね」

 共に攻撃陣を構成する木村は、チームにおけるルカオの価値について、こう続けた。

「破壊力のあるプレースタイルの持ち主で、自分たちが困った時に目印になってくれます。得点数が多いわけではないですけど、味方がゴール前に放り込んだ時に、ルカオが競ってこぼれたボールを周りの選手が押し込んだりもする。(横浜FM戦は)久々のスタメンでしたけど、決めきる勝負強さもあるなと感じました。

 外国籍選手って、献身性が足りなかったりしがちですけど、ルカオはそれも備えています。あとたぶん、自分たちに見えないところで、筋トレに励んでいるんじゃないですかね。松本(山雅FC)時代の写真と比べると、身体の厚みが違いますから。そういうところも、実に岡山らしい選手だと思います」

 時々、自身のSNSにアップしているように、パーソナルトレーナーの指導を受けながら、チームの練習とは別にフィジカルトレーニングを続けている。筆者も別れ際に軽くハグした時、鍛えぬかれた肉体に触れた。

 本人によると、それはパフォーマンスの向上のためだけでなく、ケガの予防のためでもあるという。実際、これまでのキャリアでは離脱しないシーズンがほとんどなかったが、今季は良好なコンディションを維持し、公式戦の全試合に出場している。

「自分のプレースタイルはパワーとフィジカルが肝になっています。だからその維持と向上に、ピッチの内外で努めています」

 自らの特長を心得ているルカオは、自身の未来について次のように続けた。

「今のような状態が保てれば、30代半ばまでこのレベルでプレーできるような気がしています。それができなくなった時に、引退を考えるでしょう。

 ただ僕にとって、フットボールはプレーするためのもの。選手としてピッチに立っている時にこそ、喜びを感じます。だから、監督やコーチにはならないと思う。代理人の道を勧められたこともありますが、それもあまり興味がない。引退したら、このスポーツに関わることなく、農場や牧場の管理や、マンションの大家さんなどをしたいと思っています」

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