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Jリーグで充実の日々を語るファジアーノ岡山のFWルカオ「本当に感動した」スタジアムとは? (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【何よりも大事だと思うのは人間性】

 それでも、独特のキャリアを築いてきたルカオなら、後進に彼にしか伝えられないこともあるのではないだろうか。

「確かにそうかもしれませんね。僕が何よりも大事だと思うのは、プレーやトレーニングよりも、まずは人間性です。それはどんな職業にも通じるものでしょう。人間としてのクオリティーを磨き、常に周囲の人々に感謝する。そのうえで努力を続ければ、夢が叶うかもしれません。子どもたちにも、いつもそう言っています」

 ルカオには9歳と2歳の息子がいて、特に下の子はフットボールが大好きで、いつもボールを蹴っているという。最近では奥さんと4人で、大阪のUSJに出かけたりして、日本の生活を楽しんでいる。

 この国に住み始めて、もうすぐ6年。J2、J3、J2を経て、今季からJ1に挑み、彼の所属チームは大方の予想を覆し、第22節終了時点で10位。ルカオもトップハーフにつけるチームの躍進に貢献している。今がもっとも充実しているのは、間違いなさそうだ。

「いい監督とチームメイトに恵まれ、自分も力を発揮できています。家族に支えられ、クラブ全体からもファミリーのような結びつきを感じている。そしてこんなインタビューの機会までもらえて、本当に嬉しいです。

 僕が日本でプレーしていることを知っているブラジル人選手からは、自分も日本でプレーしたいので、どうにかならないかと相談されることもありますよ」

 ルカオのようなクオリティーと人間性を持つブラジル人選手が増えるなら、歓迎したい。
(おわり)

ルカオ 
Lucas Marcos Meireles/1995年9月22日生まれ。ブラジル・ミナスジェライス州ドーレス・ド・トゥルボ出身。21歳の時にアーセナルMGでプロになり、その後北マケドニアのマケドニアGP、レノヴァ、ギリシャのアポロン・ラリッサでプレー。2019年に鹿児島ユナイテッドに移籍。以降、ツエーゲン金沢、松本山雅FCと渡り、2023年からファジアーノ岡山でプレーしている。

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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