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【Jリーグ】ファジアーノ岡山のルカオが語る日本でのプレー「昇格を決めた瞬間のことは、一生忘れません」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【自分はブラジル選手らしいテクニックを持っていない】

 その後、松本との契約が満了し、一旦ブラジルに帰国したが、母国ではクラブが見つからなかった。そんな時に、前線に負傷者が出て、新戦力を要していたファジアーノ岡山がルカオに手を差し伸べた。2023年シーズンが開幕した後の3月のことだった。

 当時の印象については、岡山の木山隆之監督が6月21日の横浜F・マリノス戦後の記者会見で、こう説明した。

「正直に言って、加入当初は感覚が鈍っていて、身体のコンディションもよくなかったんです。徐々に状態は上がっていったのですが、今度はプレーの判断が拙く、味方との連係も思うように取れなくて。独力で進んでいこうとするけど、自身のよさをうまく発揮できていなかった。

 でも彼は本当に努力家なんです。自分のよさを理解し始め、できないことはできないと割りきって、自分にできることを必死にやり、チームに力を与えてくれます。監督としては、感謝しかないですよ。今のプレーは、彼が努力して身につけてきたものです。もっともっとやれる選手だと思っているので、期待しています」

 ルカオ本人も、指揮官の見立てに同意する。

「自分は、いわゆるブラジル人選手らしいテクニックを持っていないので、ほかのところを伸ばそうと努力しています。僕の家族はずっと肉体労働をしているのですが、明るく前向きに、そして懸命に仕事をしています。自分もそれを見ていたし、手伝っていたので、仕事に真剣に取り組むのは自然なことだと捉えています。

 それに木山監督は僕の能力を信じてくれて、岡山に迎えてくれました。自分の調子がよくない時や、メンタルが落ちている時は、必ず声をかけてくれるので、すごく助かっています。それから、チームメイトにも支えられています。だから、僕はその恩返しをしなければならない」

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