サッカーマニア平畠啓史の2024年J2総括 清水&横浜FCの強さとJ1昇格プレーオフの展望 (2ページ目)
【J1昇格プレーオフ展望。有利なのは長崎】
今回のプレーオフでめちゃくちゃ楽しみな点は、レギュラーシーズンが終わってから約3週間のインターバルがあること。これがどういう影響を及ぼすのか。
今までだとシーズンが終わったらすぐにプレーオフに入っていく流れだったので、シーズンの終わり方ってすごく大事だったと思うんです。ただ、今回は3週間も空きますから、調子をそのまま持っていけるのか、あまり調子よくなかったけどそこから上げていけるのかに注目しています。
J2って今まであまりインターバルがなかったので。だからこそその過ごし方は結構難しいと思うんです。今回どんな結果が出るのか本当に興味深いです。
リーグ3位のV・ファーレン長崎は、最後5連勝でフィニッシュ。5連勝で全試合失点してますが、全試合複数得点。リーグ全体でも負け数が一番少なくて、得点が一番多い。自動昇格していてもおかしくないチームでした。
最終戦を見ていても、FWマルコス・ギリェルメ選手に代わってMF中村慶太選手が出てくるんですよ。そりゃ強いよなって思って見てたら、MF名倉匠選手に代わってFWエジガル・ジュニオ選手が出てきて、どんだけ強いのかと(笑)。もちろんスタメンで出ているメンバーだけ見ても強い。
加えてやっぱりスタジアム(PEACE STADIUM Connected by SoftBank)。長崎はJ1昇格プレーオフ準決勝で勝てば、ホームで2試合できることになります。これは大きいですよ。シーズン最終盤、新スタジアムのホームで3試合やって、それぞれ4得点、4得点、5得点だったんですよ。その結果を見ても長崎が一番有利だなと。
長崎が強いのはカウンターで決められるところです。実況とか解説の方が「長崎の相手チームのペースですね」みたいなことを言う時があるんですけど、そういう時に長崎はゴールを決めるんですよ。結局相手チームがいけてるように見える瞬間が、実は一番裏が空いていて長崎にとっておいしいシチュエーションなんですよ。
また、カウンターだけのチームじゃないんです。どの選手もカウンターのための準備はしているんですが、中盤で秋野央樹選手がボールを動かして左右に揺さぶったりとか、左サイドの米田隼也選手、笠柳翼選手、名倉選手が絡むコンビネーションの崩しもある。だから、ただカウンターを狙ってるだけのチームとは違って、警戒のしようがないというか、難しい。
終盤の大量得点の一番の要因は、MFマテウス・ジェズス選手のFW起用。もともとFWの選手じゃないから、相手センターバックの前にいないんですよ。サイドで受けたり、ちょっと落ちて受けたり。そこからドリブルでスピードに乗るので、相手からすると守りづらいと思います。眼の前に来た時には100%のパワーを持った状態ですから。
あとはカットインからのシュートもすごい。右サイドでボールを受けて左足に置いたら、「もう、これは入るな」って感じがするんですよ。相手チームはどう対策するかですね。
2 / 5