サンフレッチェ広島の最強助っ人 アルスランとパシエンシアが優勝のカギを握る (3ページ目)
【ゴールを取れなくても優勝することが重要】
もっとも、アルスランはストライカーではなく、トップ下やボランチを主戦とするMFだ。「点を取ることが一番好き」と話すものの、味方を助ける利他的なプレーを持ち味としている。
厳しくマークされた湘南戦ではなかなかエリア内に入り込めなかったものの、サイドに流れてボールを引き出し、中央のスペースにボランチの川辺駿を引き込むなど、クレバーなプレーで攻撃を活性化していた。
「今日はマークがけっこう厳しかったので、たくさん動きました。たくさん動くことで味方がフリーになればいいと思っていましたし、空いたスペースをうまく利用しようと考えていました」
ゴールを量産し、相手の警戒が強まっていることも、アルスランはどこ吹く風だ。
「オーストラリアでは、日本のディフェンダーより2倍くらい大きくて、強くて、速い選手を相手にしていたので、(警戒されていることは)そこまでは意識していません。自分が点を取っても、取れなくても、優勝することが一番重要です」
軽いジョークを交えながら飄々(ひょうひょう)と答えるアルスランからは、確かな経験値を備えた実力者の余裕が漂った。
「Jリーグはすばらしいリーグだし、優れた選手もたくさんいると思います。でも僕は、毎試合を楽しんでプレーしているだけ。そしてとにかく優勝したいので、そこに集中してやっていくだけです」
ドイツから加わったアタッカーと、ポルトガルからやってきたストライカー。広島の9年ぶりの優勝は、想像の域を超えてくるこの「ふたりの助っ人」にかかっている。
著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
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