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サンフレッチェ広島の最強助っ人 アルスランとパシエンシアが優勝のカギを握る (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【移籍した大橋祐紀の得点力を補う活躍】

 ここまでインパクトを放っているのは、前者のアルスランのほうだ。

 デビュー2戦目となったC大阪戦で2ゴールを奪うと、29節のFC東京戦ではハットトリックを達成。31節の横浜FM戦でも2点を記録し、ここまで10試合に出場して7得点をマーク。シャドーの位置で躍動し、夏に移籍した大橋祐紀(現ブラックバーン)の抜けた穴を埋める以上の活躍を見せている。

 特筆すべきはシュート精度の高さで、7点を奪うまでに放ったシュートの数はたったの9本。その能力を支えるのは、圧倒的な冷静さだ。巧みなキックフェイントを駆使し、エリア内でDFを次々にかわして流し込んだC大阪戦の2点目は、彼の能力の高さを示す象徴的な一撃だった。

 対するパシエンシアは、まだコンスタントな活躍を見せられてはいないものの、ゴールを奪う感覚はやはり一級品。ここまで4試合に出場して2ゴールを記録している。クロスに合わせる能力に秀でており、身長187cmの高さを生かしたヘッドに加え、ニアサイドで仕留める位置取りの巧さも、ストライカーならではのものだ。

 敗れた34節の湘南ベルマーレ戦では、パシエンシアはベンチに留まり続けた一方、アルスランはスタメン出場したがゴールは奪えなかった。期待外れに終わったとはいえ、ピッチに立ったアルスランのプレーのクオリティは、やはり「本物」を感じさせるものだった。

 際立っていたのは、身体の強さと、トラップの巧さだ。相手を背負いながらも体幹がブレず、ボールを確実に収めては次のプレーへと展開。ここでしっかりと時間が作れるから、広島は前へと人数をかけることができていた。

 縦に速いサッカーを売りとしていた広島だが、このドイツ人MFの加入によって遅攻も繰り出せるようになった。攻撃のバリエーションが増えたことが、広島が現在トップに立つ要因だろう。実際にアルスランの加入以降、この湘南戦までひとつも負けていなかった。

 一方で湘南戦では、シュート3本を放ちながらも無得点。勢いよく得点を積み重ねてきたアルスランだが、ここ3試合は結果を出せていない。

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