Jリーグ夏の移籍の難しさ 福田正博が指摘「ネームバリューがあっても活躍できないケースも」
■Jリーグは夏場に選手の移籍があり、この先終盤戦に入っていく。各クラブ狙いをもった補強をしているが、夏場の補強の難しさとその理由を福田正博氏が語った。
【町田の補強は守備力アップが狙いか】
Jリーグは終盤戦に向けて、各クラブが夏の補強を繰り広げた。なかでも目を引くのが優勝争いをするクラブの活発な動きだ。
首位の町田に加入した中山雄太。初戦では早速ゴール photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 首位を走るFC町田ゼルビアは、前半戦首位の立役者だった平河悠(ブリストル・シティ)が海外移籍で抜けたところに、ポルトガルのカーザ・ピアでプレーしていたFW相馬勇紀を獲得。また、イングランド2部のハダースフィールドからDF中山雄太も獲得している。このほか清水エスパルスからMF白崎凌兵、サイドバックには湘南ベルマーレからDF杉岡大暉を加えている。
町田は首位の座を守っているものの、序盤戦に見せた勢いに陰りがある。守備をベースにするスタイルだけに、この夏場の暑さによって選手たちの足が重くなっているように映る。初優勝に向けて、まずは守備から立て直したいという狙いが黒田剛監督にはあるのだと思う。中山や杉岡を獲得した意図はそこにあると見ている。
ボランチ、サイドバック、センターバックでプレーでき、日本代表での経験も豊富な中山の獲得は、守備力をベースに戦う町田にとっては大きな補強になるはずだ。
また、相馬の獲得も前線からの守備の部分が大きいのではと思う。町田は平河の仕掛けから得点チャンスを築いてきただけに、相馬にも同じような役割を求めたいところだろう。もちろん相馬もサイドからの攻撃力を持っているが、特長は平河とは異なる。また、相馬がチームにフィットするには時間が限られているため、攻撃のところで多くを求めるのは酷かもしれない。
その一方で、名古屋グランパスや日本代表で与えられた仕事にひたむきに取り組んできた相馬には、前線からボールを追い回し、攻守で走り回る躍動感を期待されているように思う。また、チームの雰囲気は、選手のピッチ内外の振る舞いひとつでガラッと変わることがある。相馬の持つプレー強度の高さによって、J1優勝に向けてチームに活力を注入する狙いもあるのではないかと思う。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。