Jリーグは秋春制に移行して本当に酷暑を避けることができるのか? "何か"が起こる夏開催の日本サッカー

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

連載第10回 
サッカー観戦7000試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」

なんと現場観戦7000試合を超えるサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。今回は夏場のサッカーについて。酷暑や雷雨が試合開催に影響を与えるケースが増加。Jリーグは2026年から秋春制にシーズン移行し、その理由のひとつに「酷暑を避ける」があるが、はたして......。

【猛暑と雷雨が相次いで試合開催に影響】

 中断期間が終わり、J1リーグが再開した8月7日。埼玉スタジアムで行なわれる予定だった、浦和レッズ対柏レイソルの試合が中止になった。激しい雷雨に襲われたからだ。

 僕は、この日は味の素スタジアムで東京ヴェルディ対サンフレッチェ広島の試合を観戦していたが、やはり、雷雨接近のため、前半の20分20秒くらいで中断した。中断に入ってから実際に激しい雨に見舞われ、試合が再開されたのは1時間27分後。19時03分キックオフの試合が終了したのは22時26分のことだった。

J1第25節、東京ヴェルディ対サンフレッチェ広島は、雷雨により約1時間半中断した photo by Getty ImagesJ1第25節、東京ヴェルディ対サンフレッチェ広島は、雷雨により約1時間半中断した photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 味スタがある東京都調布市はこの日の大雨の範囲の南の端だったようで、雷がそれほどひどくなかったのが救いだった。

 ちなみに、多摩川を挟んで南の神奈川県内で行なわれた川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸、横浜F・マリノス対北海道コンサドーレ札幌の試合は、どちらも予定どおり行なわれた。

 7月中旬以降、猛暑とゲリラ豪雨に襲われ続ける日本列島......。僕が実際にスタジアムに観戦に行った試合だけでも、天候が理由で"何か"が起きたのはこれだけではない。

 まず、7月6日には東京都武蔵野市で行なわれていた日本フットボールリーグ(JFL)の横河武蔵野FC対レイラック滋賀の試合が前半30分ほどで雷雨に見舞われて中断。その後も雷雨は収まらず、そのまま中止(再試合)になってしまった。

 その翌日、16時キックオフ予定の高円宮杯JFAU-18プレミアリーグEASTの大宮アルディージャU18対前橋育英高校の試合を観戦するために、僕は37度の猛暑のなかを大宮駅からNACK5スタジアム大宮まで歩いて行った。すると、スタジアムに貼り紙がしてあって、キックオフは17時に変更になったという。

 選手の健康を考えれば、少しでも気温が下がった時刻に変更するのは当然の決定なのだが、僕は16時キックオフに間に合うように暑さのなかを歩いたので、かなり消耗してしまった。

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著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

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