レッドブルのJ3大宮アルディージャ買収、さまざまな疑問「クラブカラーはオレンジから赤に変更される?」 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【レッドブルが評価した大宮のポテンシャル】

 2024年7月に開示されたクラブ経営情報によると、大宮の2023年度の売上げは27億8800万円となっている。リーグ全体では21番目になるが、2018年の39億7千万円強からは大幅に減少している。

 熱血漢の長澤徹監督に指揮権を委ねた今シーズンは、「J3優勝でのJ2復帰」を目標に掲げた。23節終了現在16勝5分2敗の勝ち点53で首位を快走しているが、現在の経営規模ではJ2昇格やJ1復帰を果たせたとしても、J1定着やタイトル獲得には疑問符がつく。

 2023年度の売上高の上位を見ると、浦和レッズは103億8400万円、川崎フロンターレは79億6300万円、ヴィッセル神戸は65億7400万円を弾き出す。売上高と順位は必ずしも比例しないが、それなりの資金を投じなければJ1で上位に食い込むのは難しい。

 大宮は地域の企業や学校、パートナーと連携し、人や組織の成長を循環させ、持続的なものとしていく『成長循環型クラブ』を標榜している。現在の経営規模でも、クラブが目指す未来図を実現することは可能かもしれない。さらに言えば、トップチームが戦うカテゴリーは、必ずしもJ1でなくてもいいのかもしれない。

 ここで、レッドブルが登場してくる。

 世界的な飲料メーカーにしてサッカーネットワークを構築している彼らは、ドイツ・ブンデスリーガのRBライプツィヒ、オーストリア・ブンデスリーガのレッドブル・ザルツブルク、メジャーリーグサッカー(MLS)のニューヨーク・レッドブルズ、ブラジルのレッドブル・ブラガンチーノに続いて、未踏のエリアとしてアジアでクラブを保有したいとの意向を持っていた。韓国やシンガポールなども候補に上がるなかで、2022年春から円安が続いていることもあり、日本のJリーグに、大宮に絞り込まれたのである。

 レッドブルは株式譲渡に関する共同声明で、Jリーグと大宮のポテンシャルをこう評価している。

「Jリーグは非常に競争力のあるサッカーリーグであり、年々国際的な認知度を高めているなかで、26年の歴史を積み重ねてきた大宮アルディージャの存在感は特別なものであり、また多くの育成出身選手をトップリーグに輩出してきた実績は、レッドブルサッカーネットワークの一員となるのにふさわしいクラブであると判断しました。WEリーグに参戦している女子チームについても、世界で活躍できる能力をもった選手たちが多く在籍しており、大きな可能性を感じています」

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