J2ウォッチャー・平畠啓史さんの2024シーズン中間報告 上位3つの強さと今季抑えておかないといけない注目チーム (3ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu

【サプライズはレノファ山口】

 今シーズン抑えておかないといけないチームは、レノファ山口ですね。

 前半の今の順位をシーズン前に予想できた人は、結構少なかったんじゃないかなと思います。志垣良監督が来て大きく変わりました。志垣監督はヴァンラーレ八戸の時もそうですし、FC大阪の時もそうですし、ハードワークかつ組織的にみんなで守ってから攻撃に行きましょうというチームをこれまで作ってきましたが、山口でもそれをしっかり落とし込んだ印象。それも早い期間で落とし込めたのは良かったと思うんです。

 監督さんってすごい戦術持ってますと言っても、それに3~5年かかります、ではダメなわけです。仕事の成果の大きさも大事やけど、そこに至るまでのプロセスの速さってやっぱり結構大事だと思うんですよね。そういう意味では、今シーズンキャンプから始まって、ここに至るまでのこの結果はすばらしい。去年に比べても格段に球際の強度が上がってます。全選手の強度が上がっている。

 あと、守備に対する意識ですね。簡単に「ハードワーク」とかって言っちゃうんですけど、ハードワークでサガン鳥栖が有名になっていた時に川勝良一さんに話を聞いたら、「いや、サッカー選手って全員ハードワークしてるでしょ」って言ったんですね。じゃあなぜ鳥栖だけハードワークしてるように見えるんですかって聞いたら、その答えが明瞭で「報われるからでしょ」って言ったんですよ。

 報われるから、みんなハードワークするんでしょって言う。だから監督の仕事って、そのハードワークが報われるようシステムや戦術を作る仕事なんだよ、と。川勝さんの言葉に感銘を受けました。サッカー選手ももう大人なんで、報われないと無駄なことはしなくなる。

 山口の選手が、なぜ今ハードワークして頑張って、球際で強く行ってるように見えるかと言ったら、その頑張りが成果につながるから。そのシステムを作ったのが志垣監督ということ。相手は中学生じゃないんで、ちょっと上からおどして「おまえら走れよ」って言っても、大人はやっぱり走らない。今の山口の選手は去年と今年を比べて「あ、そうか、これやったら勝ち点重ねられるな」という実感がここまでの成績につながってるんだなという気がします。

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