アビスパ福岡が「今季で一番よくなかった」試合で勝ち点1 J1残留が目標のチームからさらなる進化ができるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 ところが、である。

「よかったのは(試合の)入りからPKを取るシーンくらいまで。あとはそんなにいい場面を作れなかった。相手のペース、流れだった」

 長谷部監督がそう振り返ったように、先制後の試合展開は、必ずしも福岡が意図したものではなかったようだ。

 3バックの中央に入ったDF奈良竜樹は、「うしろが勇気を持って押し上げられず、コンパクトにできなかった」と言い、こう語る。

「(前から)行けたけど、行かなかったわけではなく、どちらかというと、(行きたいけど)行けなくて下がってしまった。それはDFラインのメンタル的な問題で、背後は怖いから前でやらせてもいいかな、というところがあった」

 奈良曰く、「うしろ(DFライン)は、『前半はこのまま1-0で』という気持ちもあった」というが、そのこと自体は責められない。というより、必要な危機管理だったと言ってもいい。実際、前半を1点リードのまま折り返していれば、試合はまた違う展開を見せていたはずだ。

 しかし、福岡は前半45+9分、相手CKの流れから痛恨のPKを与え、試合を振り出しに戻してしまう。

 長谷部監督が「PKで追いつかれてゲームがまた変わってしまった。あのまま1-0でいければという思いはあったが......」と振り返る、この試合のキーポイントである。

 奈良が複雑な表情を浮かべて語る。

「(引いた守備を)やっていて、やられる気はしなかったけど、やりたいサッカーをしていたわけじゃないから、結果的にああやって失点してしまうと、そこからまた(前から)行こうとは、なかなかスイッチが切り替わらなかった。(前から)行けないから引く、になってしまい、結局、そのまま終わってしまった」

 後半の福岡は、DF湯澤聖人がカットインから惜しいシュートを放った他に、目立ったチャンスはなし。逆に、横浜FCの攻撃に耐える時間のほうが長くなった。

 長谷部監督が語る。

「ハーフタイムには『(スコアは)イーブンだからここからだ』と伝えたが、後半に入っても攻守にわたっていいところは少なかった。内容的に今季で一番よくなかったと思う」

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