国立のヒーローたちが振り返る、「日本のサッカーで唯一客が入った」時代の高校選手権

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao

3人は高校選手権で得点王に

山田「正直、静岡の予選は藤枝東とか静岡学園も力があったし、選手権本大会よりもレベルが高く、予選を勝ち抜くのが本当に大変だった。そのぶんベスト8あたりは、どれも好カードでいちばん面白い。静岡の高校サッカー熱はすごくて、『KICK OFF』(静岡第一テレビ)という高校サッカーだけの情報番組が毎週やっていて、みんな見ていましたからね」

平澤「『KICK OFF』は静岡のサッカー少年のバイブルだった」

江原「埼玉にはそんな番組はなかったし、千葉もないでしょ?」

森崎「千葉もさすがになかったですね」

平澤「当時、ほかの学校のシャツを着て練習するのがステータスで、オレは藤枝東のユニフォームを着ていたこともあった」

森崎「僕は1回、清商のユニフォームで練習に出たことがあります。布(啓一郎)先生に『オマエ、すごいの着てるな』って睨まれましたけど(笑)」

江原「武南はさすがにそれはダメでしたね」

――平澤さん、江原さん、森崎さんの3人は選手権で得点王になっています。

山田「そう言われると1人だけダメみたいですが、オレも第8回全日本少年サッカー大会で、得点王になっているんです。清水FCの3連覇は止めてしまいましたが、14点で太田南(群馬)の選手と一緒に(笑)」

平澤「オレは、校内のスポーツテストこそ1級だったけど、ヘディングはまあまあ、テクニックもまあまあ、スピードも遅くはなかったけど、身体能力は平凡だった」

山田「平澤さんの点のとり方はハンパなかった。3年の時は、県予選でも点をとりまくって(11ゴールで得点王)、武田(修宏、清水東OB、元V川崎など)さんの大会記録(9点)を抜いていましたよね」

平澤「でも、森崎くんが市立船橋(千葉)で初優勝した時は、すごい選手が出てきたなと思ったよ。帝京(東京)との決勝戦でハットトリックして、ヘディングの打点は高いし、バネはあったし」

森崎「僕も客観的に昔の自分を見るとそう思います(笑)。決勝の2点目は距離のあるヘディングシュートでしたけど、センタリングが上がってきた時から"スローモーション"でした。飛ぶ瞬間、頭に当てる瞬間、GKの位置、すべてが見えていたというか。振り返れば、あのときはゾーンに入っていたのかなって、しばらく経ってから気づきました。

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