J2のブレイク候補5人。引き抜かれないかサポーターは常にヒヤヒヤ (5ページ目)

  • 六川則夫●撮影 photo by Rokukawa Norio

昨季出場機会を得て、ついに才能が開花したジュビロ磐田の伊藤洋輝昨季出場機会を得て、ついに才能が開花したジュビロ磐田の伊藤洋輝伊藤洋輝(ジュビロ磐田/DF)

 ジュビロ磐田の眠れる獅子・伊藤洋輝は、大きな成長を感じさせた昨季から、さらにもう一段上のステージへ踏み出そうとしている。

 その左足から繰り出される精密誘導弾はピッチを斜めに切り裂き、相手の急所を"爆撃"する。188cmの大きな体は強さとしなやかさが増し、相手の快足FWにスペースへの"よーいドン"を仕掛けられても、戦えるだけのスピードもある。かつては「武器にできていないので、武器にしないといけない」と言っていたヘディングの技術も確実に向上し、空中戦でも頼れる選手に仕上がってきた。

 21歳の若武者ではあるが、高校生の内にプロとしてのキャリアをスタートさせて早くも5年目のシーズン。ただ、レギュラーとしてほぼフル稼働したのは昨季が初めてのこと。最初の3シーズンは、リーグ戦出場わずか3試合と実戦機会に恵まれず、ブレイクスルーを果たせずにいた。

 森保一監督が就任して最初の国際大会だった2018年のAFCU-23選手権にも下の世代から唯一招集され、オランダの有力クラブが獲得に動いたこともあるなど、各方面からその資質は評価されていた。元より190cm近い長身でスキルもあって、走れて、さらに左足で"蹴れる"選手はそういないのだから当然だが、磐田の歴代監督の構想においてどうにも"ハマる"場所がなかった。

 それが昨季、ビルドアップを重視するフェルナンド・フベロ監督の指揮下、左のセンターバック(CB)として"ハマる"ポジションを見出し、ついに花開いた。もちろん未熟な部分も残しているが、そこは伸びしろと捉えたい。今季もCBとしての起用が有力だが、東京五輪に滑り込むことを考えるならむしろ好都合でもある。ようやく手にした実戦機会を重ねながら、もう一段のスケールアップを見せられるか。(川端暁彦●文)

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