2020.12.23

「師匠と弟子」。中村憲剛からの宿題に大島僚太は挑みつづける

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

チームメイトが語る中村憲剛
(5)大島僚太

中村憲剛が引退を発表し、現役最後の瞬間が迫ってきた。スポルティーバでは、川崎フロンターレのチームメイトたちにインタビュー。常に先頭に立ってチームを引っ張ってきた中村との思い出や、彼に対する思いを語ってもらった。

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 ずっと背中を追いかけてきた。少しだけ近づいたと思っていたその背中は、まだずっと先にあることを目の前で見せつけられた。

師弟の関係で、フロンターレの中盤をつくり上げてきた中村憲剛(写真左)と大島僚太(同右) 10月18日に行なわれたJ1第23節の名古屋グランパス戦だった。ケガもあり、スタンドから試合を眺めていた大島僚太は、改めて中村憲剛の"すごみ"に圧倒されていた。

「憲剛さんは1年前に負ったケガから復帰したばかりで、その間、チームは新しいシステムを採用するなど、変化してきていました。それなのに、憲剛さんがいるだけでチームに与える影響力はとてつもなく大きかった。対戦相手が憲剛さんひとりに集中力を研ぎ澄ましてくる感覚すら感じたんです。

 僕自身も今シーズンは、憲剛さんと同じ左のインサイドハーフでプレーしていたので、憲剛さんのプレーと自分のプレーを重ね合わせて試合を見させてもらいました。僕はキャンプからずっとこのシステムとこのポジションをやってきていて、憲剛さんはケガをしていて全体練習もままならない状況で、パッと試合に出ていた。

 それなのに、試合に与える影響力の大きさを見せつけられました。だから、まだまだ一緒にプレーして、憲剛さんを追いかけたいという感情が強くなっていたんです。自分が目標とすべき姿を、あの試合(名古屋戦)で改めて見たんです」

 その名古屋戦に、川崎フロンターレは3-0で勝利する。先発した中村は2アシストを記録しただけでなく、自分の立ち位置で味方を動かし、相手を翻弄した。大島の目には、中村が試合そのものを掌握しているように映ったのだ。

 大島が中村から今シーズン限りで現役を引退すると聞いたのは、名古屋戦が終わった翌週だった。