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今季「J1全順位」を改めて予想。
急浮上、急降下するチームはあるか (3ページ目)

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

ロティーナ監督率いるC大阪が一歩リード。
FC東京は橋本拳人の移籍が大きな痛手

小宮良之氏(スポーツライター)

 コロナ禍の再開後は、明快な流れがある。たとえばリーガ・エスパニョーラでは、精密な攻撃コンビネーションで評判が高かったレアル・ソシエダ、ベティスの両チームが苦しんでいる。一方、戦力的に優れ、単純な堅守カウンターを採用するレアル・マドリード、アトレティコ・マドリードは躍進中だ。

 戦術的に細かいことに挑むチームは、それだけの時間的猶予がなく、不利と言える。厳しい日程で、修正も難しい。疲労は何より、判断力を奪うのだ。

 選手層とソリッドな守備、それにまつわる采配力が、キーワードになるかもしれない。

 その点、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が率いるセレッソ大阪が、手堅さで一歩リードする。ロティーナ監督は、守備戦術でスペイン時代も名を馳せているが、昨シーズンも守りは堅く、カウンターの精度も高かった。

 戦力的にも、積極的な補強を敢行しリーグ上位。FWだけでも、ブルーノ・メンデス、奥埜博亮、都倉賢、柿谷曜一朗、豊川雄太など、より取り見取りだ。

 次は、FC東京だろうか。長谷川健太監督は、守りをベースにした"負けない"チームを作り上げた。昨シーズンは堅守カウンターで優勝を争い、選手層も薄くはない。

 とすれば、本来なら優勝候補に推したいところだが、MF橋本拳人(→ロストフ)のロシア移籍は痛すぎる。勝ち点で言えば、(1シーズンで)10~15点の減少に匹敵。戦い方の変更を余儀なくされるほどだ。

 アンジェ・ポステコグルー監督がスタイルを突き詰めてきた王者の横浜F・マリノスは、フィットしたら他を寄せ付けない。今は"試運転"の状況で、とくに守備面の脆さは心配だが、連覇も十分に可能。湘南ベルマーレ戦では、3人の交代選手が決着をつけたように、戦力は随一だろう。不確定要素となるのは、大会方式も変更されて、10月に延期されたAFCチャンピオンズリーグがどう影響するか......。

 ヴィッセル神戸は、MFアンドレス・イニエスタ次第だろう。イニエスタは、Jリーグで唯一無二。チームが勝とうが負けようが、彼が出るだけでスペクタクルだ。

 降格候補とされていたチームは、思い切った選手起用でプレーモデルを熟成させるシーズンにするかもしれない。

 サガン鳥栖は、昨シーズンのチームを刷新。19歳のMF本田風智は大成するか。他にも面白い素材がいて、興味は尽きない。ただ「若手主体」と決めてしまうと、健全な競争は失われる。勝負で若さを露呈し、不調が続くと自信を失い、成長どころではない。

 厳しいプロの世界。勝敗を突き詰めなければ、強さは永遠に失われる。

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