2020.06.10

年齢詐称していたエメルソン。
来日しなければ選手生命が終わっていた

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 1998年にサンパウロのトップチームに進み、レギュラーとしてプレーするようにもなった。だが、ここにきて年齢詐称が発覚、彼のブラジルでの将来に赤信号がともった。

 サンパウロのチームメイトにサンドロ・ヒロシという日系三世の選手がいた。実は彼も年齢をごまかしていて、それがある時、見つかってしまった。チームあげての大問題となり、サンパウロはすべての選手の出生証明書をもう一度よくチェックすることにした。そこでエメルソンの偽装も発見されてしまったのである。エメルソンの出生証明書は偽物だと認定されたわけではなかったが、騒ぎがこれ以上大きくなることを恐れたチームは、すぐさま彼を放出することに決めた。それもブラジルからできるだけ遠く離れたところに。

 それが日本のコンサドーレ札幌だった。おそらく当時のコンサドーレは、この事件のことを知らずに彼を獲得したはずだ。そしてエメルソンは、偽の証明書を持って日本に移籍している。

 証明書は偽物でも、彼のサッカーは本物だった。サッカーは彼の大きな武器であり、喜びであった。ゴールを決めれば幸せだったし、日本のサポーターも幸せだった。