最少失点C大阪が優勝を狙うのに
必要なこと。スペイン人選手に食指?
スペインの名将、ミゲル・アンヘル・ロティーナが率いたセレッソ大阪の1年とは何だったのか。
開幕当初、セレッソは9試合で2勝2分け5敗と低迷していた。それが第10節からの10試合は7勝1分け2敗と反転攻勢に出る。選手たちの心身が充実し、4-4-2のポジション的優位を目指した戦い方がはまり、最終的に5位でシーズンを終えた。
最終節は大分トリニータに0-2で勝利したセレッソ大阪「チームとして変わったのは、10節の(松本)山雅戦だと思います」
今シーズン、セレッソでチーム最多得点を記録したMF水沼宏太はそう振り返っている。
「(3-4-2-1から)4-4-2にシステムが変わったのもあるんですけど、選手の中で危機感もありました。そこで、"走って戦う"という基本に立ち返ろうと。戦えていないという実感があったなか、山雅戦はみんなで声を掛け合って、チームとしてすごくいい戦いができたんです。それが自信になって、次の試合も勝てて、少しずつ確信に変わりました」
昨シーズンの7位を上回る成績と言える一方、群雄割拠のリーグであと一歩、優勝争いに食い込めなかったのも事実だ。
「チームは成長のプロセスにあると思っています!」
攻守の戦術的な軸になった水沼は言う。ロティーナ・セレッソの行き着く先とは――。
ロティーナは、守備のトレーニングに関しては自ら先導している。攻撃については右腕のイバン・バランココーチに任せているが、守備には絶対的な自信を持つ。実はスペイン監督時代も、ログロニェス、ヌマンシア、オサスナ、セルタなど、北部のクラブで手堅いチームを作ってきた。
セレッソでも、その堅守は際立っている。松本戦からの10試合はわずか4失点。リトリートし、ブロックを作る守備は鉄壁で、シーズンを通じてもリーグ最少失点を誇る。
「ロティーナのおかげで頭の中にあるプレーが整理されて、選択肢を与えてもらっているな、と思います」
水沼はそう言って変化と成長を説明している。
「自分自身は、考えてプレーできるようになりました。ピッチに立った時に、周りを見渡し、どういう状況なのか。おかげでいいポジションを取れて、スムーズにプレーできるようになったんです。最初はポジションを決められているようで、制御されている感じがあったかもしれません。でも、選手がお互いにその感覚を整理できるようになると、連鎖するようにいい形でボールを受けられるようになったし、守備でもアドバンテージを取れるようになったんです」
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