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イニエスタがチームメイトに送った
メッセージ。動揺続く神戸に何が? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images

 チーム戦力は変わっていないし、戦略デザインも継承している。しかし、土台がぐらついているというのか、指揮官を失ったことで浮き足立っている。

 リージョの目指していたサッカーは、攻守両面で敵を凌駕する"王者の戦い方"だった。必然的に、肉体的にも精神的にも、高い強度のプレーを要求される。とにかくトレーニングの質が高かったが、そのディテールが選手に受け入れられた。

「サッカーがうまくなっている」という高揚感が、チームに活力を与えていたのだ。

 リージョのデザインを真似ることは誰にでもできる。しかし、細部を真似ることはできない。

「日本人選手は、仕掛けるドリブルはできる。世界的に活躍している選手も多い。しかし、『ボールを持ち運ぶ』というドリブルが少なすぎる。相手を誘い出し、引きつける。そうして相手を動かすことで、アドバンテージが生まれる」

 リージョはそんなディテールにこだわった。ポジションや距離感に細かく注文をつけた。

「とにかくボールをつなげ、ラインを上げろ」というのは指示ではない。選手が心酔したのは細部だった。閃きを与えられた。

「リージョを解任するなんて、もったいない!」

 神戸以外のチームの選手たちでさえ驚いたほどだった。神戸の選手にとっては、失望に近かったはずだ。

 もっとも、残された選手たちは前を向くしかない。

「選手はプロとして、1日1日の練習に向き合うだけ」

 ある神戸の選手は、この状況にそう洩らしている。

 川崎戦後のミックスゾーンに、アンドレス・イニエスタが姿を現し、記者たちに対応している。主将であるとはいえ、不甲斐ない4連敗の後だけに、ノーコメントを貫くこともできただろう。マイクの前で毅然と話したのは、ひとりの選手として「どうにか打開しないといけない」という責任感の発露に違いない。

「ともに戦おう!」

 イニエスタはチームメイトたちに向け、励まし合うようなメッセージを送信しているという。

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