2019.05.03

イニエスタがチームメイトに送った
メッセージ。動揺続く神戸に何が?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images

 4月29日、ノエビアスタジアム神戸。ヴィッセル神戸は、Jリーグ王者である川崎フロンターレに0-2とリードを許していた。後半10分を回った頃だ。

 筆者はSNS通信アプリを使って、先日まで神戸を率いていたフアン・マヌエル・リージョにメッセージを送った。

「神戸は右サイドがほぼ存在していない」

 リプライは間髪入れずに返ってきた。リージョはすでにスペインへ帰国しているが、神戸の試合は欠かさずにライブで見ている。

「まったくだ。それも、ずっと前から」

 そのやりとりだけで、今の神戸の実像が見えるだろう。

 まず、選手たちは試合のなかで戦いを修正することができていない。士気は低く、先制されただけで戦意が落ちていた。そして吉田孝行監督はハーフタイムで、局面を改善することができなかった。

 リージョ時代、後半に流れを変える試合は少なくなかった。たとえばガンバ大阪戦。後半の反転攻勢で逆転した試合は熱さを感じさせた。松本山雅戦は先制を許し、敗れているが、後半は相手を滅多打ち。挑みかかる気迫を見せた。

 しかし川崎戦は、スイッチが入らないまま、1-2で敗れている。これでリーグ戦は4連敗。混迷は増す一方だ。

川崎フロンターレ戦で、チームメイトを鼓舞するアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸) 神戸は何を支えに巻き返すことができるのか?

 今シーズン、リージョは第7節まで指揮を執って、ルヴァンカップも含め、10試合を戦い、3試合で敗れている。一方、吉田監督は3試合ですでに3敗。否が応でも、監督交代の矛盾が浮かび上がってしまう。

「なぜ、監督を代えなければならなかったのか?」

 チーム内に生まれた不信感を、選手たちが拭いきれずにいる。

 サッカーというスポーツはメンタルが著しく影響する。もともと実力者で、リージョの指導を吸収していた山口蛍、西大伍の2人は、動揺が顕著だろう。気の毒なほど、プレーに迷いが混じっている。また、リージョとの信頼関係を築いていたルーカス・ポドルスキも、精神状態が不安定なのは明白だ。