アビスパの意識に引き分けなし。J1かけたグランパス戦で奏功するか (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 福岡がこの試合に持ち込んでいたテーマは、受け身にならないことだった。4バックをベースとする福岡だが、この日は3バックを採用。相手のサイドアタックを警戒しつつ、前線からの守備の圧力を高めることが狙いだ。その策の背景には、0-0に終わった10月28日の東京Vとのリーグ戦(第39節)があった。

「その試合ではワイドに広く使われて押し込まれるシーンがあったので、そのあたりを対応したいと考えていました。ただ、3バックでも引いて守るのではなく前から行くことで、ヴェルディさんにいい攻撃をさせなかった。前半からそういった形は作れたと思います」と井原正巳監督が振り返ったように、前線からの積極守備が奏功した。

 山瀬の決勝ゴールも、FWのウェリントンが高い位置でボールを奪ったことがキッカケだった。受け身に回れば、リーグ戦と同様に攻勢を浴びてしまう。ならば多少のリスクを取ってでも、前から圧力をかけていく。そうした福岡の戦いからは、「引き分けでもよし」とする考えは微塵も感じられなかった。

 1点リードしてからも、福岡はハイプレスを継続した。当然、追いかける東京Vが前に出てくることは予想されたが、その圧力に対しても引くのではなく、ガチンコで前からぶつかり合った。

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