アビスパ、J1自動昇格へ前進。
「先行逃げ切り」じゃなくても勝てた (2ページ目)
福岡の井原正巳監督はエースのウェリントンをベンチに温存し、前線には機動力のある選手を並べ、変則的な布陣で挑んでいる。4-1-2-3に近いフォーメーションで、まずは横浜FCの持ち味を消しにいった。アンカーのウォン・ドゥジェで横浜FCの攻撃のカギを握るレアンドロ・ドミンゲスを封じ、インサイドハーフ2人が横浜FCのダブルボランチのフタをする。さらにトップの仲川輝人が積極的にプレスバック。横浜FCのビルドアップを分断した。
「横浜は7戦負けていなかったですし。福岡としては、まずイバ、レアンドロの攻撃の爆発力をまず抑えようと。システムを変えて挑みました」(福岡・井原監督)
福岡はそのプラン通りに実行した。しかし、先制したのは横浜FCだった。前半25分、右サイドからのアーリークロスで左CKを得ると、レアンドロが蹴ったボールをファーポストで待っていたジョン・チュングンがヘディングで押し込んだ。フリーでのスタンディングヘッドだった。
福岡はこのCKに対し、ゾーンで守っていた。しかしマーキングの意識が希薄で、原則を破っていたと言わざるを得ない。「ペナルティエリア内ではゾーンで守っても、ゾーンに入った人を必ずつかまえる」――欧州の指導者は必ず指摘することだが、スペースへの意識が強すぎ、結果、人が浮いた。また、致命的なことに、福岡のゾーンはペナルティサークル付近に二次攻撃を防ぐための人が配置されておらず、これも原則的ではなかった。
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