60歳ラモスの怒声とパス。
永井秀樹が引退試合で伝えたかったこと (2ページ目)
「永井はなぜいない!? 俺たち、最高のプレーを披露するんじゃないのか!」
澤井と井上は、直立不動のまま動けなくなった。
公式戦ではなく、あくまでもエキシビションマッチ。しかし、ユニフォームを着て、ファンの前でプレーする以上、最高のプレーを披露する――それが、ラモス氏の信念である。60歳、還暦を迎えても、ラモスはラモスだった。
熱く、激しく、誇り高く、どこまでも真剣にサッカーと向き合う。本物のプロフェッショナルの姿を、若いふたりは目の当たりにした。
「5万人以上の観客の前でプレーするプレッシャーは、経験した者にしかわからない。どんな大会、試合、トレーニングマッチでも、もっと言うと、日々のトレーニングの中でも、プロとしての意識、厳しさがある。若い頃、そういう雰囲気の中で過ごしたことで、自分の中でのプロの基準は高くなったし、おかげでその後、一切妥協を許さなくなった。仲よしこよし集団にいて、チャンピオンチームになれるわけがない」
そう語る永井。「本当はもっと多くの若い選手たちに、ラモスさん、カズさんをはじめ、『黄金時代』と呼ばれた頃のヴェルディの選手がいるロッカールームの雰囲気を経験させたかった」と残念がった。
黄金期のヴェルディの"本物の雰囲気"を肌で感じること。当時のメンバーたちと一緒にロッカールームで過ごし、同じピッチレベルで試合を見て、その時間を共有すること。それが、「(若い選手たちの)その後のサッカー人生に多大な影響を与えてくれる」(永井)と確信していたからだ。
『VERDY LEGENDS』のロッカールーム。最初は和やかな雰囲気だったが...
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