松本山雅、プレーオフ敗退。あとわずかで「痛恨の失点」はなぜ起きたか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 共同通信●写真 photo by KYODO

 反町監督は嘆息した。しかしこの時点では、松本に焦りは感じられなかった。石原との連係からチーム得点王の高崎寛之がシュートを放つなど、優勢は変わらない。最終ラインに対し、猛烈に圧力をかける。パワープレーも使い、強引に相手のDFラインを押し下げた。

 後半に入ると、松本はさらに攻撃色を強める。高崎が右サイドに流れ、折り返したクロスを工藤が合わせ、左ポストを直撃。65分には、反町監督がキックに定評のある宮阪政樹を投入し、仕上げにかかる。連続するセットプレー。そして74分、宮阪の蹴った左CKをパウリーニョがGKの鼻先で合わせ、追いついた。パウリーニョはこの日、遊撃兵のようにセットプレーで撹乱。岡山は対抗措置として酒井宣福を入れていたが、一枚上手だった。

 それは、反町イズムの集大成にも見えた。

 しかし、岡山のDF岩政大樹は不敵に腹を括(くく)っていた。

「同点にされても、結果として勝てばいい、と思っていた。凌いでいけば、相手はやがて下がる。終盤の勝負どころで、うちにチャンスはくるんじゃないかと」

 残り10分、松本は自陣に退いた。攻撃を耐えるだけの形となり、慎重さが臆病に転じていく。自陣深くまで引いた最終ラインに、ボランチが吸い寄せられる。

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