データも強さを証明。青森山田の「頭と体をフル稼働させる」サッカー (4ページ目)

  • スポルティーバ●文/撮影 text&photo by Sportiva


 試合後の選手たちへのインタビューで印象的だったのは、「僕たちはミーティングもうるさい。意見を出さない奴は1人もいないんです」という言葉。千葉コーチの「しゃべって頭を動かせ!」という指示で選手たちの動きがよくなったのことでもわかるように、試合中に発する大声は、自分たちに気合いを入れるだけでなく、選手間で意識を共有するための重要な要素なのだという。

 チームが一体になることで戦術も徹底される。特筆すべきは、52.7%という前方へのパスの比率の高さだ。これは、Jリーグ平均の約35%をはるかに上回る。ボールを奪われるリスクも高くなるが、攻守の切り替えの速さと圧倒的な運動量によるプレスがこれをカバーする。頭と体をフル稼働させて、とにかく前へ。その圧力が、青森山田を頂点へと導いたのだ。


 ハイレベルな戦いの中で活躍した選手でも、トップチームのメンバーに入ることは難しい。青森山田には、今大会に出場した選手も含め、1年生だけで約60人の部員がいる。しかし、強豪高ゆえの競争の激しさは、選手たちも十分に分かっている。決勝トーナメントで3戦連続ゴールを決め、大会MVPを獲得した檀崎も、「ここで満足してはいけない。Aチームでも活躍できる選手になりたい」とすでに先を見据えていた。

 青森県では全国高校サッカー選手権の予選が始まっている。青森山田の初戦は11月3日。その試合に出ることが叶わずとも、このU-16大会を制した選手たちは、1年後、2年後にトップチームでプレーすることが夢ではないと思える自信を手にしたに違いない。

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