絶望的状況の栃木SC。「底なし沼」J3降格が意味するものは? (2ページ目)
2014年から「育成型クラブ」に切り替えたというが、育成型とはクラブ自前の選手を育てることを指し、若く安い選手を求めることではない。また、今シーズンは成績不振による監督交代後に混乱を大きくし、シーズン中にもかかわらずヘッドコーチが辞任。場当たり的マネジメントはピッチの選手のパフォーマンスに反映されるのだろう。単純な技術的ミスや稚拙な判断が多く、ミスに自信を失ってミスを重ねている。この日の監督記者会見でも「次に勝てば、何かが変わる」と、論理的な説明はなかった。根拠もなく、楽観的観測に縋(すが)っているだけではないのか―――。
そもそも、「J3に落ちる」とは何を意味するのだろうか?
シーズン佳境に入ったJリーグ。J1の優勝争い、アジアチャンピオンズリーグ出場権を巡る攻防、残留争い、さらにJ2からJ1への昇格争い、もしくはそのプレーオフ......それらはスポーツニュースの一つとして話題性がある。しかしJ2からJ3への降格となると、途端にぼやけてしまい、実態をつかみづらく、"向こう側"の話になる。
J3はJ1、J2と比較すると、クラブの規模や予算だけでなく、外国人枠や交代選手の数までも違い、うっすらと一線を画している。
J1の平均年間予算が約25億円、J2が約10億円。それに対してJ3は約2億5千万円にとどまる。必然的にJ3の人件費は制限される。「3人以上のプロ選手在籍」が一つの条件だが、年俸の上限が460万円未満のC契約でもプロ契約として成立する(ちなみにJ2は年俸460万円以上のA契約選手が5人以上)。月給20万円弱の選手が多く、学生アルバイトのような収入の選手は、少年サッカーチームのコーチなど"副業"で生計を立てている。
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