【Jリーグ】名波浩の視点/大宮が真のダークホースになる方法 (2ページ目)
その課題に関しては、意思統一をきちんと図ればすぐに解消できるだろう。むしろ、ポイントになるのは、どういった方向性でいくのか、だ。
全体が引いて、手堅く守り切るのも悪くないが、チームがもうひと皮むけるには、ハイプレッシャーを最後まで継続するやり方でもいいと思う。実際、この試合でも2点リードするまでは、清水は何もできない雰囲気があった。変に消極的な対応をするよりは、ある程度高い位置をキープして、守備でも攻撃でも自分たちがゲームをコントロールすることを考えてもいいのではないだろうか。
そのためには、青木や金澤慎らダブルボランチのポジション取りや、攻守における舵取りが重要になる。
大宮の悪いところは、ずっと守備をベースにして戦ってきたチームだけに、ボランチがふたりとも下がって守備のバランスを保とうとする点にある。そうすると、攻撃に厚みが出ないし、ほとんどの時間帯で受け身に回ってしまう。
そうした状況から脱却し、自分たちが主導権を握るためには、やはりボランチのどちらかひとりは、積極的に前に出ていかなければいけない。バランサーとしての役割はひとりの選手に任せて、もうひとりはできるだけ攻撃に参加すべき。清水戦で青木が点を取れたのも、前線に飛び出していったから生まれたわけで、その意識をより高めていくことが大切だ。
大宮は、個々の守備能力が高く、安定している。そのうえで、今はノヴァコヴィッチ、ズラタンという強力な2トップがいる。その控えには、長谷川悠や富山貴光らがいて、厚みもある。2列目の渡邉大剛、曺永哲らからはチャンスが生み出せる。あとは、ボランチの選手が今までの殻を破ったプレイができれば、真の意味での「ダークホース」になれると思う。
著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍
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