2013.01.02

【Jリーグ】
37年ぶりの天皇杯優勝。柏が備えつつある「強豪クラブの風格」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

前身の日立製作所時代から37年ぶりとなる天皇杯を制覇した柏レイソル 奪ったゴールはわずかに1。それでも慌てることなく試合を進め、堅実な守備で逃げ切ってしまうあたりは、昨季(2011年)のJ1王者・柏らしい戦いぶりだったと言っていい。

 4年前と同じガンバ大阪と柏の対戦となった、元日恒例の天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝。試合序盤からボールポゼッションで上回り、主導権を握ったのはG大阪のほうである。

 しかも、様子を見るようにパスをつなぐだけだった状態から、20分を過ぎると徐々に柏ゴールへ迫る機会も多くなっていた。25、26分には、ゴール前で遠藤保仁、二川孝広が立て続けに惜しいシュートチャンスをつくり出してもいた。ここからいよいよ、本格的にG大阪ペースになるのではないか。注目の元日決戦は、そんな流れで推移していた。

 潮目を変えたのは、柏のネルシーニョ監督が下した「決断」である。

「ガンバから流れを奪えず、攻撃に転じたときリズムを持続できなかった」と振り返る百戦錬磨の名将は、だからこそ「決断が必要だった」と振り返る。試合開始から32分にして水野晃樹に代え、田中順也を投入した場面について、ネルシーニョ監督はこう語る。

「ガンバのDFラインが余裕を持っていたので、もっと警戒させたかった。センターバックとサイドバックの注意を(柏のFWに)引きつけたかった」

 ボールを奪っても前線でボールが収まらず、なかなか効果的な攻撃につなげることができなかった柏は、この交代でリズムをつかみ始める。32分の交代直後に、コーナーキックからDF渡部博文の先制ゴールが決まったのは出来すぎだったとしても、指揮官の”荒療治”が試合の流れを変えたのは間違いない。