2012.01.23

【Jリーグ】松田直樹追悼メモリアルゲームに結集した選手たちの思い

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

チームNaoki Friendsには、松田が日本代表時代に親しかった多くの現役、OBが集まった アクロバティックなボレーシュートで、カズが観衆をどよめかす。
 ヒデは背筋を伸ばしたドリブルから、ひらめきを感じさせるスルーパスを通した。
 ぶくぶく肥ってしまっていたエースのジョーだが、ポストプレイの妙で人々を唸らせる。
 “アジアの壁”(井原正巳)は現役時代とまったく変わらない体型、構え方もボールの持ち方も一緒だった。

 スターがスターの雰囲気を漂わせ、王様が王様の美学を見せ、そして体型は変わってしまったが空気は変わらない人がいて――。

 1月22日、16年間在籍した横浜F・マリノス、最後のシーズンを過ごした松本山雅で同僚だった選手、さらにアトランタ五輪、シドニー五輪、日韓W杯など代表のチームメイトたちが、世代を超えて競演した。松本山雅対F・マリノスOBが30分間の変則ゲームを行なった後、Naoki Friends対F・マリノスの現所属選手とOBの混成チームが45分を2本の試合を行なっている。

 彼らはいずれもひとつの想いを胸に、日産スタジアムへと集った。
「マツへの想いを胸に、サッカーを楽しもう!」

 昨夏、病に倒れて逝った松田直樹を追悼するメモリアルゲームは、4万人以上の記録的な観客を集める盛況ぶりだった。5000部近くのメモリアルブックは完売した。松田と親交のあった『ゆず』が「逢いたい」という歌を弾き語りで披露すると、感極まる人は少なくなかった。

 はたして、これほど愛されたサッカー選手はかつていただろうか。
「松田が一緒にプレイしていた気がしたよ」と選手や関係者はその想いを明かしている。

「サッカーが俺の命だ」
 そうまで言い切った松田の意志を、ピッチに集まった人々は強く感じていた。勝敗を問うことに意味はない。誰もが真剣にフットボールを楽しみ、ゴール裏から沸き上がる声援はいつになく温かく聞こえた。