【Jリーグ】松田直樹追悼メモリアルゲームに結集した選手たちの思い
チームNaoki Friendsには、松田が日本代表時代に親しかった多くの現役、OBが集まった アクロバティックなボレーシュートで、カズが観衆をどよめかす。
ヒデは背筋を伸ばしたドリブルから、ひらめきを感じさせるスルーパスを通した。
ぶくぶく肥ってしまっていたエースのジョーだが、ポストプレイの妙で人々を唸らせる。
"アジアの壁"(井原正巳)は現役時代とまったく変わらない体型、構え方もボールの持ち方も一緒だった。
スターがスターの雰囲気を漂わせ、王様が王様の美学を見せ、そして体型は変わってしまったが空気は変わらない人がいて――。
1月22日、16年間在籍した横浜F・マリノス、最後のシーズンを過ごした松本山雅で同僚だった選手、さらにアトランタ五輪、シドニー五輪、日韓W杯など代表のチームメイトたちが、世代を超えて競演した。松本山雅対F・マリノスOBが30分間の変則ゲームを行なった後、Naoki Friends対F・マリノスの現所属選手とOBの混成チームが45分を2本の試合を行なっている。
彼らはいずれもひとつの想いを胸に、日産スタジアムへと集った。
「マツへの想いを胸に、サッカーを楽しもう!」
昨夏、病に倒れて逝った松田直樹を追悼するメモリアルゲームは、4万人以上の記録的な観客を集める盛況ぶりだった。5000部近くのメモリアルブックは完売した。松田と親交のあった『ゆず』が「逢いたい」という歌を弾き語りで披露すると、感極まる人は少なくなかった。
はたして、これほど愛されたサッカー選手はかつていただろうか。
「松田が一緒にプレイしていた気がしたよ」と選手や関係者はその想いを明かしている。
「サッカーが俺の命だ」
そうまで言い切った松田の意志を、ピッチに集まった人々は強く感じていた。勝敗を問うことに意味はない。誰もが真剣にフットボールを楽しみ、ゴール裏から沸き上がる声援はいつになく温かく聞こえた。
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