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サッカー日本代表の「ミスキャスト」は今回も? 「穴」は3バックの端とウイングバックの間 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 鈴木はブラジル戦で健闘を見せたが、それは湘南ベルマーレで同じポジションで戦っていた余韻かもしれない。鈴木は欧州では、4バックならセンターバックかサイドバックかを迫られるサイズ、キャラクターだろう。「日本人は3枚でないと守りきれない」というのが、森保監督が3バックを選択する理由でもあるのだろうが、ここで枚数を使えば、せっかく人材豊富な中盤は薄くなる。

 今回、招集されていない伊東は、右ウイングバックに最も戦術的にフィットしているかもしれない。パラグアイ戦も、何本も得点の可能性のあるクロスを入れていた。ブラジル戦はシャドーでの出場だったが、サイドに流れる動きが有効になって、クロスから同点弾を演出し、押し込んだCKから上田のヘディングもアシストした。彼には右サイドをカバーするだけの馬力や走力があるし、クロスにも定評がある。

 しかし、三笘薫や堂安がウイングバックというのは道理に合わない。彼らは騎兵であり、機動力を持ってゴールを襲うところで最大の力を発揮する。馬を降り、塹壕に入って陣地を守るのは奥の手であるべきだ。

 確かに歴史を変える勝利だったが、ブラジルは9月のワールドカップ南米予選で、本大会出場を逃したボリビアにも敗れていたことはあまり報じられない。ワールドカップ優勝最多5回は過去の話である。客観的に見て、もしホームゲームでの真剣勝負だったら、ブラジルも後半、これほど腑抜けた戦い方にはならなかったはずだ。

 3バック+ウイングバックの評価は、この11月シリーズに先送りすべきだろう。森保ジャパンは、14日にアフリカのガーナと戦い、18日に"ブラジルを下した"ボリビアを迎える。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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