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サッカー日本代表の「ミスキャスト」は今回も? 「穴」は3バックの端とウイングバックの間 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【多くが本職ではないポジションに】

 3バック+ウイングバックが守りに回ったとき、陣形としてはほとんど必ず歪みが出ている。それぞれの位置(高さ)が違うため、必然的にズレが生まれる。相手に少しボールを出し入れされただけで、人は多くいてもオープンスペースを与えてしまうのだ。

 事実、ブラジル戦の前半に先制された場面でも、鈴木が相手に食いついて、簡単に裏のスペースができていた。そこを右サイドバックに走り込まれ、真ん中のセンターバック、谷口も間に合わず、脆くも失点していた。2失点目も、横パスに佐野海舟、鎌田がつききれず、浮き球のパスがライン裏に出されると、堂安と右センターバックの渡辺の間をすり抜けたガブリエウ・マルティネッリがパスを受け、左足で蹴り込まれた。

 失点シーンだけではない。日本は常に3バックの端とウイングバックの間を脅かされていた。そもそもウイングバックがサイドアタッカーの選手だけに、守備に回ると限界がある。サイドアタッカーはサイドアタッカーで使うべきで、圧倒的な矛盾があるのだ。

 パラグアイ戦は終了間際の上田のゴールでドローになったが、やはり3バックが問題を露呈していた。1点目は、相手がフリーで出した背後へのパスを瀬古歩夢がオフサイドをかけようとし、入れ替わられている。人が多くいることで意思統一は難しく、ライン管理に問題が生じる。2失点目も一度跳ね返したボールに対し、人数は揃っているにもかかわらず、前に入った選手に誰も体を当てられず、クロスをヘディングでゴール方向へ飛ばされていた。

 思い起こせば、9月のアメリカ遠征の連戦(メキシコに0-0で引き分け、アメリカに2-0で敗戦)でも、3バック+ウイングバックには目を覆うような綻びが出ていた。守備もそうだが、攻撃的な看板を掲げながら、チャンスを作り出した機会はわずかで、ノーゴールに終わった。

 森保監督の3バック+ウイングバックでは、多くの選手が本職ではないポジションを務めている。そもそも欧州の有力クラブで、このフォーメーションを使っているのは少数派と言える。

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