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サッカー日本代表のメンバーは1年前よりパワーダウン 実力者を酷使した結果、実力者が消えた (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【久保をいま招集する必要があるのか】

 今回招集された選手のなかで所属クラブの最高位を挙げるならば、リバプール(現在プレミア3位)所属の遠藤だ。しかしリーグ戦の出場機会はほぼゼロ。気がつけばカップ戦要員になってしまった。ひとりの選手としても、代表選手としても、この状況を受け入れるわけにはいかない。遠藤がそう考えてこの冬、移籍の道を探るとしても不思議はない。だが、移籍がうまくいく保証はどこにもない。遠藤はこの先、リスクを抱えている。

 久保も現状に問題を抱える選手に見える。代表では三笘とともに二枚看板を張ってきた選手である。しかし所属のレアル・ソシエダは今季、スペインリーグ14位に低迷。まさに移籍のタイミングを迎えている。だが、移籍にはリスクがつきまとう。移籍した先でのポジションは保証されていない。

 加えて故障がちだ。先週末のビルバオ戦、途中交代で3試合ぶりに復帰したばかりだ。森保監督はそれでも前回に引き続き今回も、当然だと言わんばかりに招集した。久保の力はわかっているハズだ。いつでも代表チームに溶け込める選手である。ケガのリスクを負って、いま招集する必要があるのか。佐藤や北野に出場の機会を与えたほうが、日本の総合力は高まると思わないのだろうか。

 故障がちだった冨安は、昨年のアジアカップで案の定、負傷した。アーセナルに戻って1度回復したかに見えたが再度故障。それっきりになってしまった。バイエルンの伊藤も今年3月に日本代表で2試合連続フル出場したあと、チームに戻るや即、ケガをした。日本代表の招集自体、故障明けだった。森保監督の責任は重いと言わざるを得ない。

 実力者は大切に扱うべきなのだ。久保本人が出場したいと言っても制すのが大人の役割ではないか。冨安、伊藤、守田、高井、町田、三笘......。実力者がこれ以上いなくなると、ベスト8どころか16強入りさえ怪しくなる。

 選手選考で重要視すべきは選手の格、所属クラブのステイタスと、選手個人の勢いだ。旬か否か。フェイエノールトで今季、快調にゴールを決めている上田は確かに旬に見える。チームメイトの渡辺も同様、評価を高めている。だが、オランダリーグのレベルがいま著しく低下していることも事実なのだ。板倉が所属するアヤックスが、チャンピオンズリーグのリーグフェーズで最下位(4戦4敗、得点1、失点14)に沈む姿はその象徴である。

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